むーちゃんとの出会い
2005,04,11深夜、春の陽気から一変して、冷たい冬の雨が激しく降る中、必死に泣く声が耳に入ってきました。
全身びしょぬれになりながら、1軒の家の窓の明かりに吸い付くように入れて入れてと泣いているこの子をみつけました。
声をかけると怖がりながらも、初対面のわたしに近づいてきました。あっと言う間にすりすり猫でした。
入れてと張り付いていた家を中心に、ぐるぐるぐるぐる泣きつかれたかすれる声で延々と歩き回っていました。
その子が濡れないよう傘をさしてあげると、安心するのか泣き止みました。相合傘で同じところをぐるぐる歩き回りました。
わたしの足に絡みながら、自分のうちを探しているようでした。
翌日も雨。
明るいうちに自らごはんを食べに会社に現れました。また、びしょぬれでした。
しかし、目が合うと慌てて逃げてしまいました。
ご飯を用意し追いかけましたが、姿は見えなくなっていました。泣いてはいませんでした。
暗くなると、また会社のほうに姿を現しました。
しかし、目が合うとまた慌てて逃げてしまいました。
4m道路を渡り、昨日張り付いていたお宅の敷地に入り込み、また窓に張り付き切なげな大声で泣き始めました。
昨日よりも声はかれていました。
わたしが近づくと、警戒心を増していました。
呼んでも、そのお宅の敷地から出てきません。
ごはんを差し出しても、なかなか出てきません。
しゃがみこみ、話しかけながら、この子が近づいて来るのを待ちました。
しばらくすると、おなかが空いているのに負け、耳を伏せ、ぺったんこというくらい背を低くして、恐る恐る近づいて来ました。
ごはんを見せながら、会社に誘導しようと思っても4m道路を境に着いてきません。
そこで、そっと抱き上げてみると暴れません。
わたしは、片手でこの子を抱え道を渡り、会社の中に入れました。
しかし、どうも落ち着かないようでした。ごはんをあげても咥えて道を渡ってしまいました。
片手で抱いて走ることは、トニ・翠君以来でした。思えばみな対等な信頼関係を結ばせてくれる男の子です。
この子からも、そんな感じがひしひしと伝わってきました。
多分、この子は守ってもらうだけの存在ではなく、家族に迎えてくださった方を守ろうとするタイプの子だと思います。
走っていったこの子を追いかけ、電柱の明かりの元で唇をめくってみました。すると、歯がきれいなように見えました。
顔も愛嬌のある大福系の顔。
デューク君を思い出しました。
わたしは、違う子達をお願いすることになっていたまきぼうさんに連絡を入れました。
次の日も、明るいうちに自らごはんを食べに来ました。
しかし、また目が合うと慌てて逃げてしまいました。
走って行く後姿が、昨夜の歯の様子とは違い、年齢がいっているように見えました。
走り方も、ちょこちょこ小走りで心許なく、けれど少し苦笑してしまうようなそんな後姿でした。
暗くなると、また大声で泣きながら歩き回っています。
警戒心はいっそう強くなっていました。
近所の猫関係・動物病院、猫つながりで一帯を聞き込みましたが、飼い主は見つかりませんでした。
探されている遺跡もありませんでした。
午後7時過ぎ、ふと気がつくとこの子がやって来ました。
会社の中でご飯をあげることに成功。
おどおどしながらも、思ったより落ち着いて食べているので、アドバンテージプラスをつけ、キャリーケースを用意し、
食べ終わるのを見はからいキャリーに小細工を施し、誘導しました。
小細工に夢中になっていたこの子は、そっと扉を閉めたことにも気がつきませんでした。
わたしはすぐさま、まきぼうさんに連絡を入れ迎えに来ていただきました。
キャリーの中に入ったこの子を蛍光灯の下で見てみると、電柱の明かりの下で白く見えた歯とは違い、
犬歯が丸まっているように見えました。
年齢は、結構いっているかも知れません。
明るい社内でも顔はデューク君似。人間との関わり方は、落ち着いたら翠君タイプのような気がします。
甘えん坊なのは、間違いありません。
これから複数の子をお願いすることになっていたにも拘らず、(こちらの準備が整わず、まきぼうさんをお待たせしていた状態です。)
突発的な子達を臆することなく受け入れてくださる、かもくん、まきぼうさんに感謝しております。
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